事業の内容等

(1)本年度事業の趣旨・目的等について

ⅰ)事業の趣旨・目的
ホームオートメーションにモノのインターネット(IoT)を取り入れ、家の中の様々な機器をインターネットと無線通信で接続し、それらを統合するデバイスで自動制御を行なったり、スマートフォンなどの端末によって外出先からでも遠隔操作ができる家(コネクティッド・ホーム)が現実化している。先進的なハウスメーカーは、通信事業者や設備機器メーカーと共同で研究開発し、行政との連携による実証事業で必要な技術の検討や課題抽出を進めてきた。

複数のIoT機器が有機的につながり、AIを活用して家庭内で得られたデータから新たなサービスを提供することで、「高齢者世帯の増加」「共働き夫婦の家事効率化」「自然災害」など国内の住環境の課題解決が期待されている。

コネクティッド・ホームの普及は、Sociaty5.0の実現の大きな柱のひとつと期待されているが、日本はまだ黎明期段階であり、今後の進展はそれを現場で支える人材の養成にかかっている。

本事業では、ハウスメーカー、住宅設備や家電メーカー、組み込みソフトベンダー、セキュリティ対策企業等と連携して、建築・機械・IT系専門学校における中核的人材養成に必要な教育内容を研究し、その教育プログラムの開発を目指す。

 

ⅱ)学習ターゲット、目指すべき人材像
建築や設備の設計・施工・保守やIoT機器の設置・保守等に携わる技術者に、コネクティッド・ホームの構築・維持に必要な知識・技術、普及・拡販につながる提案力、普及を阻害するセキュリティ障害等の解決力を授け、分野の安定成長に貢献する中核的人材に育成する。

(2)当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

  • 従来の住環境向上の方向性

建物の外観、安らぎを感じるインテリア、キッチンやバスのような毎日の生活に欠かせない設備の機能は、生活のしやすさを大きく左右する大切なポイントであることから、今までは、デザイン性、機能性、品質等、住み心地の向上を目指した住環境つくりが行われてきた。進歩の著しいITを組み込んだ設備や什器・備品等機器の普及で、近年の住居の住み心地は大幅に向上しているが、それらの設備や機器はIT組み込み型の単体として動作することが中心であったことから、建築や設備工事に関わる中核的技術者を育成してきた専門学校で特に新たに必要となるICTに関する技術がほとんど無かったのが現状であった。

 

  • Society5.0における住環境への要求

四半世紀前に商用サービスが開始されたインターネットは、情報の受発信や伝達の手段として今や生活に不可欠なインフラに成長し、電気・ガス・水道に並ぶライフラインのひとつとなっている。昨今は、様々な住宅設備や家電・機器がインターネットにつながる住宅のIoT化が進み、居住者の利便性を高め、より豊かな暮らしの提供を推し進めようとしている。

Society5.0においては、居住者一人ひとりに合ったより良い住み心地といったさらに高位の要求を実現するために、居住者が「用途ごとに好きなデバイスを組み合わせて使うことができる」コネクト環境の整備、従来の住生活改善のノウハウとIoT・AIを活用した「新たな生活価値の提供」のためのライフシーン提案、「住まう人の生活や情報を守る」リスクマネジメント対策の強化等の視点が重要となっている。

 

  • Society5.0における住環境の実現に必要な技術

設備や家電・機器が家庭内ネットワークにつながり、それが外部のクラウドやスマホ等とインターネットを通して接続されるコネクティッド・ホームの普及を促進するためには、従来の建築や設備関係の技術に加えて、インターネットをはじめ、家庭内での設備機器のネットワーク接続やそれらをコントロールする装置の仕組み、センシングや組み込みソフトウェア、ネットセキュリティ等に関する知識や技術を有した技術者の育成と輩出が重要となる。

さらに、居住者個々のニーズに合わせた課題解決を実現できるように、IoTを組み込んだ設備や家電・機器等を利用した満足度の高いライフシーンについての相談や提案対応、コネクティッド・ホームで利用されるハードウェア・ソフトウェアの不具合や、ビッグデータ利活用によって生じる新たなセキュリティ脅威に対する対応等、より高次な提案力や解決力を有した人材の育成も求められている。

 

○これからの住環境と人材

コネクティッド・ホームの普及や人材に関する調査情報は、まだ黎明期であることからほとんど見当たらないが、住宅の着工数等の統計データ等から家庭内におけるコネクティッドな環境の整備状況の現状把握や将来予測ができる。コネクティッド・ホームに対するニーズも体系的な調査による報告は見つからないが、日本では、まだまだ一般の人のスマートホーム(コネクティッド・ホームと同義)に対する興味・関心が薄いのが現状で、2014年に株式会社クロス・マーケティングが全国47都道府県に在住する20〜69歳の男女を対象に行った調査によると、「スマートホームに興味があり、住宅購入の際にはそうした設備の有無にこだわる」と答えたのは全体の10%ほどであった。しかしながら、McKinseyの予測で、2025年におけるIoTによる潜在的な経済効果(economic impact)は3.9~11.1兆ドル、このうちコネクティッド・ホーム関連ビジネスは、少なくとも2,000億ドルから3,000億ドルに達すると見込んでいる。なお、ドイツの調査会社Statistaの調査(Smart Home – worldwide)によると、2017年時点でのスマートホームの世界市場規模は、約3.6兆円(≒330億ドル)である。市場は、今後もうなぎ上りで成長すると予想されており、2020年までに6兆円(≒550億ドル)に、その後の5年で約5倍の29兆円(≒2630億ドル)、2030年には7倍以上の45兆円(≒4050億ドル)の規模に成長すると見込まれている。

IDC Japanは、国内のIoT市場は2020年まで年間平均成長率16.9%で成長し、13.8兆円に達すると予測しており、富士経済スマートハウス関連市場の将来展望(2014年)では、スマート家電・ネットワーク機器全体で2020年に6,033億円と予想している。

今後、さらに技術が進展し、Society5.0を目指す日本において、コネクティッド・ホームの市場規模は爆発的に拡大することが想像できる。これに伴い、コネクティッド・ホームに携わる設計者や維持・保守のための技術者の需要は大きく拡大すると予測される。

○人材育成

これからのコネクティッド・ホームの市場・需要の拡大により、大手企業ばかりでなく、中小の住宅設備会社や設計事務所・IoT機器メーカー等において、コネクティッド・ホームに対応した機器を使用した設備や設計、導入後の保守に携わる人材の不足が予測される。これまで専修学校が人材を供給してきた企業において、コネクティッド・ホームの対応したIoT機器等を扱える人材の需要増が見込まれる。専門学校は職業教育機関としてこれからのSociety5.0を支える人材の供給を行うことが使命と考えている。

 

(3)開発する教育カリキュラム・プログラムの概要

ⅰ)名称
コネクティッド・ホーム技術者教育プログラム

 

ⅱ)内容
  • コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム

家庭内の各機器や設備を遠隔操作や音声でコントロールしたいとか、快適な住環境を自動設定したい等、生活者のニーズに合わせた様々なサービスを充実するためには、センサーや各機器をネットワークで「つなげる」ことが必要である。現在、IoTを組み込んだ設備や機器間の「つながり」については、通信やコントロールの仕組みの標準化が遅れており、その隙間を埋めてスマホやAIスピーカーとの連携を進める装置が数多く提供されている。このような設備や機器、装置を使ってコネクト環境を構築するためには、インターネットやLAN、通信、センサー、プログラミング、ウィルス対策等、多岐にわたるICTの基本的な知識と技術の習得およびコネクト技術の標準化やオープンイノベーションの方向性の把握が必要である。設備や機器、通信装置等のハードウェアおよびソフトウェアメーカーとの連携や、オープンイノベーションを進める研究機関、IT系の専門学校の協力を得て、コネクト環境の構築・維持に携わる中核的技術者を育成する教育プログラムを開発する。

・ポリシー:必要とされるICTの知識・技術が幅広いことと、受講対象者がICTの専門家を目指しているわけではないこと、これらの教育に割ける時間が多く取れないことから、効率よく短時間で、基礎的な知識・技術と応用力をしっかり教育することが求められる。そのためには、多岐にわたるICTの必要な部分を、網羅的・体系的に整理し、関連性を判りやすく提示した楽しく学べる教育プログラムでなければならない。

・概要  :家の中の設備、家電や什器・備品等の機器、通信装置、センサー等を家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行うための技術を、基礎内容から理解し、実践的に応用することができるように教育することを目指す。

・方法:  基礎的知識の獲得には、IT系専門学校で利用されている既存の教育プログラムや良質な映像教育コンテンツから必要な部分をチョイスし、効率的・効果的に学習できる教育プログラムに編成する。実践的な応用力は、自主的な情報収集と個人およびチームで行う課題解決型学習を中心に、実習と協働作業において実際のコネクティッド環境を構築する過程で獲得できるように教育プログラムを工夫する。

・技術内容と構成:インターネット、LAN、ネットワーク接続、仮想化、組み込みプログラミング、センシング、スマホアプリ、OS、Webアプリ、サーバー、データベース、クラウド、ユーザーインターフェイス、ウィルスソフト 等から、コネクト環境の構築に必要な知識と技術を抽出し、講義と実習および協働作業を合わせて、1コマ90分を年間30コマ実施する教育プログラムとする。特に、IT系専門学校での教育プログラムに含まれていないセンシングの理解のためには、本事業で教材を開発して、それを利用する。

 

  • コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム

家の設計・施工に携わる技術者にとって、ユーザーの様々な生活シーンや目的において、利便性の高いサービスの提供や課題の解決の提案を行うためには、IoTを組み込んだ設備や機器を組み合わせて、個々のユーザーが求める要望をどうのように実現するかを想像できる能力が求められる。ICTやIoTを利活用した多種多様なサービスの事例を自ら調べ、主体的に内容の理解を進め、それらの知見をコネクティッド・ホームのサービスに応用し、コネクティッド・ホームの普及を推進する人材の養成を目的とするアクティブラーニング用教育プログラムを、参画企業及び参画団体の協力を得て開発する。

・ポリシー:各機器の接続による相乗効果で、有益なサービス等を生み出す想像力・創造力、すなわち「新しい組み合わせを見つけ出す」能力を開発する。

・概要  :「家事の効率化」「健康管理」「防犯」「エンターテイメント」「資産維持管理」等、様々な生活シーンや目的において、コネクティッド・ホームに求められる要件を、各IoT機器の機能を組み合わせて実現する方法を、自ら考え、主体的に提案する力の育成を目指す。

・方法  :ITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例研究を中心に、最新技術の応用や適用方法の工夫を行った際の発想チェンジや論理思考等の内容を理解させ、応用提案力を育成するアクティブラーニング型の教育とする。

・教育内容と構成:ビッグデータ、ディープラーニングとAI、ロボット、画像認識、スマートスピーカー、ウェアラブルデバイス等が、どのようなところでどのように利用されて何を生み出しているかを主体的に調べ、コネクティッド・ホームの有益性の向上や課題解決に応用できる知識や方法の獲得を目指して、1コマ90分のアクティラーニングを15コマ実施するワークショップ型の教育プログラムとする。

 

  • コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム

安全・安心な住環境つくりには、 「住む人の生活・情報を守る」との強い意志が重要であり、その対策の強化を第一に考えなければならない。コネクティッド・ホームのインフラはネットワークであり、そこを流れる情報で全ての機器が制御されていることから、情報セキュリティ面での対策は非常に重要な課題である。情報は目に見えないものだけに、プライバシー情報の漏洩や悪意のサイバー攻撃による機器の誤操作・誤作動等の心配が生じると、コネクティッド・ホームの普及が阻害されることになる。コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスに関わる技術者にとって、情報セキュリティに関しては一定の知識と防御のための技術が必要であることから、IT系専門学校の情報セキュリティ学科の教育プログラムを参考に、IoTや組み込みソフトウェアに関する内容を付加し、ソフトウェア開発に関するセキュリティ対策等不要な部分を削除するなど、参画のIT系専門学校の協力をえて必要十分な教育プログラムに再構築する。

・ポリシー:設備や機器がインターネットに接続することによってもたらされる脅威を正確に理解し、十分な事前の対策を講じる技術を有し、事故が生じてしまった時には適切な対応が取れる技術者を育成する。

・概要  :家庭内ネットワークを流れる情報が、悪意のあるサイバー攻撃やハードウェア・ソフトウェアの不具合、人的ミス等によって流出・改ざんされて、設備・機器が誤動作したり、個人情報が悪用されるようなことが無いように、「情報セキュリティの仕組み」の構築をはじめ、日常のメンテナンスサポート、人為ミスを防止する「安全対策」のほか、地震や落雷などの自然災害時においてのシステム維持の仕組みなどの知識・技術を教育することを目指す。

・方法  :IoT仕様の設備・機器や通信機器のセキュリティ対策情報の収集と脆弱性の把握、接続された設備・機器で形成されるネットワークシステムのリスク評価の方法を、情報セキュリティ専門家が対応した事例の研究をワークショップ形式の授業を通して学ぶ。事例の理解に必要な知識・技術の教育は、映像学習コンテンツの視聴で習得する。

・教育内容と構成:基本的な情報セキュリティ対策、サイバー攻撃、プライバシー情報保護対策、物理的脅威対策等に必要な知識・技術を習得する授業と、常にネットワーク全体のリスクマネジメントを行えるような視点の獲得を目指す教育プログラムを開発する。最終目標は、自分で対処できる範囲と情報セキュリティ専門家に依頼する範囲の切り分けができ、専門家に委託する場合は、適切な応急措置、正確な状況報告、緊急性の判断ができることを目指す。教育プログラムは、1コマ90分を15コマ実施する座学及びワークショップ型の教育プログラムとする。

 

○開発する教育プログラムの関連性

「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」は、家の中の設備、家電や什器・備品等IoTを組み込んだ機器、通信装置、センサーを家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行うための技術の獲得を目指すものである。

「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」は、コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスにおいて、「住む人の生活・情報を守る」ためには、情報セキュリティの知識と防御のための技術は最も必要なものであるから、「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」の内容から分離し、特に詳しく教えるために開発するものである。「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」は、家庭内のIoT機器の接続による相乗効果で、様々な生活シーンや目的において実現する内容を、住宅ユーザーに提案できる力をつけることを目的としている。

家の設計・施工に携わる技術者は、住宅ユーザーに要件確認や設計・施工段階での説明等で直接関わることから、現場で必要なコネクト技術だけでなく、ユーザーへの利便性の高いサービスの提供や課題の解決の提案も求められる。本事業で開発する3つの教育プログラムは、専門学校を卒業する設計・施工の技術者に必要なIoT機器の設置、メンテナンスの技術、普及のための提案力、情報セキュリティの技術とユーザーに安心感を与える知識・説明力等について網羅的な教育を行うためのものである。

 

○教育プログラムの受講者に関する評価

3教育プログラムは、専門学校の学生(新規の設計・施工技術の習得を目指す者)を対象としているので、担当教員が成績評価を行うことを想定している。

「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」は、実技のための部屋を用意し、教員によって与えられたIoT機器を設置・設定し、すべてが正常にコネクトされ異常なく動作すること、および教員が作った不具合について、その原因を調査し、適切な対応と復旧ができるかどうか等、課題への取組過程と完了結果をもって成績評価とする。

「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」は、IoT機器のセキュリティ脅威の実例を調べて、脅威の内容および対処方法をレポートで提出すること、および教員が設定した情報流出リスクが存在するコネクト環境の原因追求と、適切な対応と復旧ができるかどうか等の取組過程と完了結果をもって成績評価とする。

「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」は、ワークショップでのアクティラーニング型授業において、主体的な取組をどのように行ったか、ロールプレイでの提案内容、事例調査のレポートで成績評価を行う。

 

【教材】

  • センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発(解説冊子及び演習課題CD)

重力、温度、照度等を感知するセンサーを組み込んだ機器のソフトウェア開発を行うことで、どのようなデータがどのようなタイミングでどのように取り扱われるのかを理解し、インターネットにつながる機器の基本的機能の理解を進めることを目的とした教材である。第一目的は、建築・機械系専門学校生が興味深く取り組むことができ、判りやすくプログラミングができ、常に結果が目に見える形で確認できるような教材及び演習課題に仕上げることであるが、mruby/cを使ったセンサー利用のソフトウェア開発の教材は珍しいので、組み込み系ソフトウェア開発技術者を目指す学生にも十分役立つものにする。なお、この演習にはSenStickというセンサーを組み込んだ実習機器を利用するが、協力団体であるRubyビジネス協議会から無料で貸与されることになっている。

  • コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術(解説冊子及び演習課題)

ICT機器を利活用する技術者(IT専門技術者ではない)を対象に、TCP/IP等の通信に関する基本的なしくみの解説と実際の接続実習を通して、IoT機器をインターネットやLANにつなげる方法や技術を理解させ、安全で安定稼働するコネクティッド・ホーム内ネットワークの構築ができるように、判りやすく丁寧に説明し、また知りたいことを目的から逆引きで検索できるような教材とする。

情報セキュリティに関しては、教育プログラム(3)「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」で利用できるレベルの内容を盛り込む。

  • ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>

教育プログラム(2)「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」や、教育プログラム(3)「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」で行うワークショップにおいて利用できるITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例及びインターネットにつながることによる脅威の事例を紹介するとともに、ワークショップ参加者が想像力・創造力、応用提案力を高めることができるように、個人およびチームでの協働の作業を通して課題解決に導く効果的なファシリテーション手法を提示する。

 

【実証】

<30年度>

・教材「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を使用した集中講座(2日間8コマ分)を年度末に主幹事校で実施する

 

<31年度>

・教育プログラム「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」の一部分(3日間12コマ分)、及び教育プログラム「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」の一部分(1日間4コマ分)を、教材「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」を利用して、年度末に主幹事校において集中講座で実施する

・教材「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を使用した集中講座(2日間8コマ分)を夏休みに協力専門学校において実施する

 

<32年度>

・教育プログラム「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」の一部分を題材に、教材「ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>」を使って、主幹事校において、主幹事校及び協力専門学校の教員を対象に教員研修を実施する(1日間4コマ分)・主幹事校において、「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」を授業科目として開講する

・教育プログラム「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」の一部分(3日間12コマ分)、及び教育プログラム「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」の一部分(1日間4コマ分)を、教材「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」を利用して、夏休みに協力専門学校において集中講座で実施する。

 

(4)具体的な取組

ⅰ)計画の全体像
<30年度>

【調査】

  • コネクティッド・ホームの構築に必要な技術

調査目的:「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発のための基礎情報とするため
調査対象:ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー 5社程度
調査手法:ヒアリング
基本的な情報はインターネット・文献から収集する
調査項目:IoT機器のコントロール仕様、標準化の方向性、国際規格等
インターネット接続方法、セキュリティ対策の手法と実施 等
現状の課題と今後必要となる技術
分析内容:IoT機器のコントロール仕様の比較による主要となる仕様の予測、標準化の方向性と標準仕様の必要技術、国際規格の現状と決定時期や必要な技術・知識(何を学習させるかを特定するための情報集約と検討)
活用手法:開発する教育プログラムのカリキュラム内容・教材内容の不足部分の明確化、補完情報の追加、学習領域・範囲・レベルの設計に活用する。また、全体のバランスを考慮し、どの学習内容にどの程度の時間を割くべきかを設計するための基礎資料として活用する。

  • コネクト技術習得に利用可能な既存の映像教育コンテンツ

調査目的:コネクティッド・ホームの技術は、複数の領域にまたがった学習が必要であるが、コネクト環境構築については、建築・機械系の教員では十分な対応できない。学習内容を補完するための映像コンテンツを利用して、教育内容の充実を図るため。
調査対象:Web上で公開されているコネクト環境構築に関する映像コンテンツ
調査手法:インターネットの検索調査及び映像コンテンツ視聴による内容調査
映像コンテンツ配信サイト 5サイト程度
映像コンテンツ 30コンテンツ程度
調査項目:品質、コスト、難易度、説明の分り易さ、受講方法、視聴に用いるデバイスの種類、時間数、継続のし易さや受講者フォロー方法、受講評価方法
分析内容:映像・音声の比較、受講費用の比較、映像以外のツールの充実度(レジュメ、サブテキスト)、1講座当たりの時間、受講を継続させるための仕組み・仕掛け等を比較検討し、利用に最も適した映像コンテンツを選択する活用手法:授業を補完する教育教材として活用する。活用できる映像コンテンツをもとに、開発する他の学習領域の教材内容の拡充を図る。

【教材開発】

  • センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発

コネクティッド・ホームの構築・維持・普及・推進の教育プログラムの内容を学習する上で基礎技術・知識となるIoT機器のセンシング技術を学習する教材を開発する。
本教材は、センサーを組み込んだ機器のソフトウェア開発を行うことで、どのようなデータがどのようなタイミングでどのように取り扱われるのかを理解し、インターネットにつながる機器の基本的機能の理解を進めることを目的とする。
内容:センサー組み込み装置(SenStick)とセンシングの基本的な機能の解説、プログラム言語(mruby/c)の解説とサンプルプログラム、課題解決型学習のために個人およびチームで行う実習と協働作業の課題
規模:30時間相当の教育教材(テキスト150ページ)と演習課題(プログラム5本)
※課題解決型学習の実施方法、課題の解答(教師用)も併せて開発する。
(冊子(30ページ程度)及びCD(プログラム5本))

【実証】

  • 開発教材を使った集中授業の実施

教材「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を使用した集中講座
対象:本校 学生及び卒業生
時間数:2日間 1日4コマ×2 計8コマ分

 

<31年度>

【調査】

  • ITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例

調査目的:「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発の事例紹介で使用する情報を収集するため
調査対象:ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー等から 5事例程度収集
調査手法:ヒアリング
基本的な情報はインターネット・文献から収集する
調査項目:コネクト環境を利用した最新機器、コネクト環境を使用した最新サービス事例
インターネット接続方法、プロトコル・通信方式の種類、
ネットワーク機器との連携方法、セキュリティ対策
分析内容:各調査項目について、特徴的な事例を選択する。
「○○を活用した代表例」のような形式で調査結果を分析する。
活用手法:調査・分析の結果を実施の授業で使用できるような事例教材・ツールとして編集し、授業の解説やワークショップの課題として活用する。

  • インターネットにつながることによる脅威の事例

調査目的:「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発の事例紹介で使用する情報を収集するため
調査対象:ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー等から 5事例程度収集
調査手法:ヒアリング
基本的な情報はインターネット・文献から収集する
調査項目:コネクト環境における脅威の事例
リスク項目、実際に起こった脅威と対応、リスク項目に対する対策
今後考えられる脅威の予測と対応策の検討状況
脅威発生時の切り分け(どこまでを責任範囲とするか)について
分析内容:各調査項目について、特徴的な事例を選択する。
「○○を活用した代表例」のような形式で調査結果を分析する。
活用手法:調査・分析の結果を実施の授業で使用できるような事例教材・ツールとして編集し、授業の解説やワークショップの課題として活用する。

【教育プログラム開発】

  • コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム

概要:家電や什器・備品等の機器、通信装置、センサー等を家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行い、コネクト環境の構築・維持を行う技術を学習するプログラム

教育プログラムの構成
カリキュラム・シラバス 45時間(30コマ)
教材 150ページ
教員指導書・受講者評価方法

教育プログラムの内容

  • コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム

概要:コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスに関わる技術者を対象とした情報セキュリティの知識と防御のための知識・技術を学習するための教育プログラム

教育プログラムの構成
カリキュラム・シラバス 25時間(15コマ)
教材 100ページ
教員指導書・受講者評価方法

教育プログラムの内容

基本的な情報セキュリティ対策、サイバー攻撃、プライバシィ情報保護対策、物理的脅威対策等に必要な知識・技術、常にネットワーク全体のリスクマネジメントを行えるような視点の獲得

【教材開発】

  • コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術

ICT機器を利活用する技術者(IT専門技術者ではない)を対象に、TCP/IP等の通信に関する基本的なしくみの解説と実際の接続実習を通して、IoT機器をインターネットやLANにつなげる方法や技術を理解させ、安全で安定稼働するネットワークの構築ができる知識・技術を学習する教材
規模:45時間程度の授業に使用する教育教材及び演習課題
テキスト150ページ程度+演習課題

【実証】

  • 開発成果を使った集中授業の実施

・コネクト環境の構築・維持を行う技術者育成講座
対象:建築や設備の設計・施工・保守やIoT機器の設置・保守等に携わる技術者

本校学生及び卒業生
時間数:1日4コマ×3日間 計12コマ

 

<32年度>

【教育プログラム開発】

  • コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム

概要:家の設計・施工に携わる技術者を対象に、様々な生活シーンや目的に応じてサービス提供や課題解決の提案を行うことができる知識・技術を習得するための教育プログラム

教育プログラムの構成

カリキュラム・シラバス 25時間(15コマ)
教材 100ページ
教員指導書・受講者評価方法

教育プログラムの内容

ビッグデータ、ディープラーニングとAI、ロボット、画像認識、スマートスピーカー、ウェアラブルデバイス等が、どのようなところでどのように利用されて何を生み出しているかを主体的に調べ、コネクティッド・ホームの有益性の向上や課題解決に応用できる知識や方法の獲得行う。

【教材開発】

  • ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>

「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」や「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」を授業実施する教員・講師を対象に、ITやインターネットが適用されているサービス事例及びインターネットにつながることによる脅威の事例を課題として用いて、ワークショップをこなうための効果的なファシリテーション手法を学習する教材

規模:18時間程度の指導用テキスト及び演習課題
テキスト100ページ程度+演習課題

【実証】

  • 開発成果を使った集中授業の実施

・センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発講座
対象:建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者
※協力専門学校、企業、業界団体で受講者を募集
時間数:2日間 1日4コマ×2 計8コマ分

・コネクト環境の構築・維持を行う技術者育成講座
対象:建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者
※協力専門学校、企業、業界団体で受講者を募集
時間数:1日4コマ×3日間 計12コマ

  • 開発成果を使った教員研修の実施

・教員研修(コネクティッド・ホームの事例を使った効果的なファシリテーション手法)
対象:専門学校教員
時間数:1日4コマ 1日間 計4コマ

  • 前年度までに開発した教育プログラムと教材を利用した科目の開設

・主幹事校において、「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」を授業科目として開講する

 

ⅱ)今年度の具体的活動
○実施事項

【調査】

  • コネクティッド・ホームの構築に必要な技術

調査目的:「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発のための基礎情報とするため
調査対象:ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー 5社程度
調査手法:ヒアリング
基本的な情報はインターネット・文献から収集する
調査項目:IoT機器のコントロール仕様、標準化の方向性、国際規格等
インターネット接続方法、セキュリティ対策の手法と実施 等
現状の課題と今後必要となる技術
分析内容:IoT機器のコントロール仕様の比較による主要となる仕様の予測、標準化の方向性と標準仕様の必要技術、国際規格の現状と決定時期や必要な技術・知識(何を学習させるかを特定するための情報集約と検討)
活用手法:開発する教育プログラムのカリキュラム内容・教材内容の不足部分の明確化、補完情報の追加、学習領域・範囲・レベルの設計に活用する。また、全体のバランスを考慮し、どの学習内容にどの程度の時間を割くべきかを設計するための基礎資料として活用する。

  • コネクト技術習得に利用可能な既存の映像教育コンテンツ

調査目的:コネクティッド・ホームの技術は、複数の領域にまたがった学習が必要であるが、コネクト環境構築については、建築・機械系の教員では十分な対応できない。学習内容を補完するための映像コンテンツを利用して、教育内容の充実を図るため。
調査対象:Web上で公開されているコネクト環境構築に関する映像コンテンツ
調査手法:インターネットの検索調査及び映像コンテンツ視聴による内容調査
映像コンテンツ配信サイト 5サイト程度
映像コンテンツ 30コンテンツ程度
調査項目:品質、コスト、難易度、説明の分り易さ、受講方法、視聴に用いるデバイスの種類、時間数、継続のし易さや受講者フォローの方法受講者評価方法
分析内容:映像・音声の比較、受講費用の比較、映像以外のツールの充実度(レジュメ、サブテキスト)、1講座当たりの時間、受講を継続させるための仕組み・仕掛け等を比較検討し、利用に最も適した映像コンテンツを選択する
活用手法:授業を補完する教育教材として活用する。活用できる映像コンテンツをもとに、開発する他の学習領域の教材内容の拡充を図る。

【教材開発】

  • センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発(解説冊子及び演習課題CD)

コネクティッド・ホームの構築・維持・普及・推進の教育プログラムの内容を学習する上で基礎技術・知識となるIoT機器のセンシング技術を学習する教材を開発する。
本教材は、センサーを組み込んだ機器のソフトウェア開発を行うことで、どのようなデータがどのようなタイミングでどのように取り扱われるのかを理解し、インターネットにつながる機器の基本的機能の理解を進めることを目的とする。
内容:センサー組み込み装置(SenStick)とセンシングの基本的な機能の解説、プログラム言語(mruby/c)の解説とサンプルプログラム、
課題解決型学習のために個人およびチームで行う実習と協働作業の課題
規模:30時間相当の教育教材(テキスト150ページ)と演習課題(プログラム5本)
※課題解決型学習の実施方法、課題の解答(教師用)も併せて開発する。
(冊子(30ページ程度)及びCD(プログラム5本))

【実証】

  • 開発教材を使った集中授業の実施

教材「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を使用した集中講座
対象:本校 学生及び卒業生
時間数:2日間 1日4コマ×2 計8コマ分

 

○事業を推進する上で設置する会議
会議名① 実施委員会
目的・役割 事業の方針策定、進捗の管理、予算執行管理、成果の普及
検討の具体的内容 ・受託機関および協力専門学校・企業・団体の責任者で構成
・事業計画の承認および全体の方向性の確認
・開発・実証事業の進捗状況および会計等事務処理の監督
委員数 12人 開催頻度 3回
実施委員会の構成員(委員)
所属 役割 都道府県名
1 大阪工業技術専門学校 統括 大阪府
2 東京テクニカルカレッジ 実証 東京都
3 名古屋工学院専門学校/一般社団法人TokurouneMono振興協会 実証支援 愛知県
4 奈良先端科学技術大学院大学 開発支援 奈良県
5 九州工業大学 情報工学研究院 機械情報工学研究系 開発支援 福岡県
6 株式会社ケイ・アイ・エス 開発支援・産学連携 大阪府
7 株式会社三興社 開発支援 大阪府
8 株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ 実施・調査開発 大阪府
9 株式会社日本教育ネットワークコンソシアム 実施・調査開発支援 東京都
10 一般社団法人Rubyビジネス推進協議会 開発協力 大阪府
11 公益社団法人日本建築家協会近畿支部 調査支援・産学連携 大阪府
12 一般社団法人全国専門学校情報教育協会 実施・評価支援 東京都

 

○事業を推進する上で設置する会議
会議名② 調査・開発委員会
目的・役割 調査の企画、実施、考察
・教育プログラム開発、教育領域・範囲・レベルの設計、検証の確認、成果の活用の設計、IT分野人材育成協議会との連携
検討の具体的内容 ・調査方針検討・提案、・調査項目の検討、・調査対象の検討
・調査方法の検討
・開発方針検討・提案、・開発仕様の検討、・開発業者選定
・教育カリキュラム開発、・教育教材開発
・IT分野人材育成協議会との連絡・協議、情報共有
・実証検証の企画運営
委員数 9人 開催頻度 5回
実施委員会の構成員(委員)
所属 役割 都道府県名
1 大阪工業技術専門学校 ロボット・機械学科 委員長 大阪府
2 大阪工業技術専門学校 設備環境デザイン学科 開発 大阪府
3 株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ 調査・開発 大阪府
4 名古屋工学院専門学校 講師/一般社団法人TokurouneMono振興協会 実証支援 愛知県
5 株式会社日本教育ネットワークコンソシアム 調査支援・開発支援 東京都
6 一般社団法人Rubyビジネス推進協議会 開発協力 大阪府
7 一般社団法人Rubyビジネス推進協議会 開発協力 大阪府
8 株式会社ケイ・アイ・エス 産学連携 大阪府
9 株式会社三興社 開発支援 大阪府

 

○事業を推進する上で設置する会議
会議名③ 評価委員会
目的・役割 教育プログラムの検証、実証講座の評価
検討の具体的内容 ・実証講座の評価企画
・認定試験等の手配と結果の確認
・評価担当者選定と評価項目、基準の設計
・評価結果のフィードバックと成果への反映検討
委員数 3人 開催頻度 2回
実施委員会の構成員(委員)
所属 役割 都道府県名
1 一般社団法人全国専門学校情報教育協会 評価方針設定 東京都
2 公益社団法人日本建築家協会近畿支部 評価担当者選定 大阪府
3 経済産業省近畿経済産業局地域経済部次世代産業・情報政策課 評価協力・助言 大阪府

 

○事業を推進する上で実施する調査
調査名 コネクティッド・ホームの構築に必要な技術
調査目的 「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発のための基礎情報とするため
調査対象 ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー 5社程度
調査手法 ヒアリング
基本的な情報はインターネット・文献から収集する
調査項目 IoT機器のコントロール仕様、標準化の方向性、国際規格等
インターネット接続方法、セキュリティ対策の手法と実施等
現状の課題と今後必要となる技術
分析内容
(集計項目)
汎用化の方向性、技術要素の整理、IoT機器のコントロール仕様の比較による主要となる仕様の予測、標準化の方向性と標準仕様の必要技術、国際規格の現状と決定時期や必要な技術・知識(何を学習させるかを特定するための情報集約と検討)等
開発するカリキュラムにどのように反映するか
(活用手法)
開発する教育プログラムのカリキュラム内容・教材内容の不足部分の明確化、補完情報の追加、学習領域・範囲・レベルの設計に活用する。また、全体のバランスを考慮し、どの学習内容にどの程度の時間を割くべきかを設計するための基礎資料として活用する

 

調査名 コネクト技術習得に利用可能な既存の映像教育コンテンツ
調査目的 コネクティッド・ホームの技術は、複数の領域にまたがった学習が必要であるが、コネクト環境構築については、建築・機械系の教員では十分な対応できない。学習内容を補完するための映像コンテンツを利用して、教育内容の充実を図るため。
調査対象 Web上で公開されているコネクト環境構築に関する映像コンテンツ
映像コンテンツ配信サイト 5サイト程度
映像コンテンツ  30コンテンツ程度
調査手法 インターネットの検索調査及び映像コンテンツ視聴による内容調査
調査項目 品質、コスト、難易度、説明の分り易さ、受講方法、視聴に用いるデバイスの種類、時間数、継続のし易さや受講者フォローの方法・受講者評価方法
分析内容
(集計項目)
映像・音声の比較、受講費用の比較、映像以外のツールの充実度(レジュメ、サブテキスト)、1講座当たりの時間、受講を継続させるための仕組み・仕掛け等を比較検討し、利用に最も適した映像コンテンツを選択する
開発するカリキュラムにどのように反映するか
(活用手法)
教育プログラムの領域・範囲・レベルの検討、実習内容の検討、時間数の設計に活用する
また、映像コンテンツが利用可能な場合、教材の一部として取り込むことを検討する
授業を補完する教育教材として活用する。活用できる映像コンテンツをもとに、開発する他の学習領域の教材内容の拡充を図る

 

○開発に際して実施する実証講座の概要
実証講座の対象者 専門学校学生(本学の学生)
期間
(日数・コマ数)
平成31年1月  2日間×6時間 合計 12時間
実施手法 講義及び演習
想定される
受講者数
20名

 

ⅳ)開発する教育カリキュラム・プログラムの検証
  • 実証講座受講者からの評価

実証講座で受講者に習得して欲しい知識・技術を受講前に提示し(実証講座の目的)、受講後にその理解度・定着度を受講者の自己評価および相互評価により確認する。同時に、その評価結果に、教育プログラム、教材、講師、期間(講義時間)、前提知識等がどの程度影響したかを調べる。すべて、単元ごとの受講者およびチームでの振り返りシートで確認する。
<自己評価および相互評価の評価軸>
・目的とするデータを取得し送信するIoT機器が、個人またはチームで作成したプログラミングによって正常に動作したかどうか
・プログラミングの言語や記述方法、論理の組み立ての基本が理解できたか
・センシングの機能やデータ取得方法、データ送信方法の基本を理解できたか

  • 教育カリキュラム・プログラムの開発に携わった企業・業界団体等又は第三者である企業・団体等からの評価

実証講座の受講者の振り返りシートの集計を基に、下記の評価軸による分析を行い、評価結果にまとめる。
<評価軸>
・機器の正常動作と目的としたデータ取得の確認が出来た受講者の割合
・プログラミングの基本が理解できた受講者の割合
・センシングの基本的な機能が理解できた受講者の割合
・当初の仕様に基づいた時間数、教授内容の量と深さ、教育手法の実行が達成できたか

<評価の体制>
・評価委員会のメンバーに開発グループ責任者を加える

<評価の方法>
・資料を基にした検討会(受講者にヒアリングを行う場合もある)

 

(5)事業実施に伴うアウトプット(成果物)

【教育プログラム】

●コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム(31年度)
・年間30コマ(1コマ90分)を想定したシラバス
・フリーで利用できる既存の映像教育コンテンツおよび30年度に開発した「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」、31年度開発の「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」を使ったコマシラバス

●コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム(31年度)
・年間15コマ(1コマ90分)を想定したシラバス
・「情報セキュリティの仕組み」、誤操作・誤作動事故を防止する「安全対策」、日常のメンテナンスサポート、自然災害時においてのシステム維持の仕組みなどの知識・技術を内容としたコマシラバス

●コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム(32年度)
・年間15コマ(1コマ90分)を想定したシラバス
・最新技術の応用や適用方法の発想チェンジ等の内容を理解し応用提案力を育成するためのワークショップ用シラバス

【教材】

●センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発(30年度)→冊子(150ページ程度)及び演習課題CD(プログラム5本)
・mruby/c の解説とサンプルプログラム
・SenStick の機能とセンシングの基本的な機能の解説
・課題解決型学習のために個人およびチームで行う実習と協働作業の課題
・【付録】課題解決型学習の実施方法および課題の解答(教師用)→冊子(30ページ程度)及びCD(プログラム5本)

●コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術(31年度)→冊子(100ページ程度)及び演習課題(5課題)
・インターネットやLANにつなげる方法や技術およびその基本となるしくみの解説
・実際の設備や機器を使った接続実習の課題
・【付録】課題解決型学習の実施方法および課題の解答(教師用)→別冊(30ページ程度)

●ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教師用>(32年度)→冊子(100ページ程度)及びCD
・ワークショップを行うためのワークシート
・ITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例やインターネットにつながることによる脅威の事例集
・課題解決型学習の実施方法(ファシリテーション手法)および課題の解答例

【調査報告書】

●コネクティッド・ホームの構築に必要な技術(30年度) →冊子

●コネクト技術習得に利用可能な既存の映像教育コンテンツ(30年度) →冊子

●ITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例(31年度) →教材冊子に記載

●インターネットにつながることによる脅威の事例(31年度)  →教材冊子に記載

 

(6)本事業終了後※の成果の活用方針・手法

  • 今後の運用

・教育プログラムと教材は、主幹事校及び協力専門学校で実際の授業に適宜使用を予定
<主幹事校> 32年度から下記の教育プログラムの教材を使い、正式科目として開講

(教育プログラム)コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム
(教育プログラム)コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム
(教材)センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発
(教材)コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術
33年度から、下記の教育プログラムを教材として使い、正式科目として開講
(教育プログラム)コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム
(教材)ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>

<協力専門学校>33年度から下記の教育プログラムの教材を使い正式科目として開講

(教育プログラム)コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム
(教育プログラム)コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム
(教材)センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発
(教材)コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術

・教育プログラムと教材は、全国専門学校情報教育協会会員校での実際の授業における使用を推進

具体的には

  1. 成果物の送付
  2. 成果報告会の実施
  3. 導入に向けた教育カリキュラム説明会の実施
  4. 学生指導のための教員研修会の実施
  5. 本校が実施するコネクティッド・ホーム講座の見学会及び導入相談会を実施
  6. 本事業に参画する専門学校から導入の可能性のある他校の紹介
  7. 事業終了後も継続して活動をするための体制構築

・主幹事校および協力専門学校が幹事を務める全国工業専門学校協会(全国専修学校各種学校総連合会の下部組織)<http://www.zenkosen.jp/index.html>の部会である全国専門学校建築教育連絡協議会および全国専門学校電気・電子教育研究会と連携をとり、会員校への教育プログラムの普及および教員への研修開催を働きかける

・「コネクティッド・ホーム アライアンス」へのアプローチを行い、主幹事校または全国工業専門学校協会の会員登録を目指し、この分野のリーディングカンパニーと産学連携体制の構築で本教育プログラムの有効性を高める

●事業期間終了後におけるフォローアップ体制

・全国専門学校情報教育協会、全国工業専門学校協会および主幹事校のホームページで、成果物のダウンロードが可能なように対応

●「コネクティッド・ホーム アライアンス」

住宅、不動産や電機、IT、自動車、食品などさまざまな業種のリーディングカンパニーによる連合「コネクティッド・ホーム アライアンス」が、2017年7月25日に設立されている。「暮らしのIoT」は、すでに米国では普及しているが、日本では個々の企業が独自に活動しており、ガラパゴス化して周回遅れの状況となっていることを打破し、メーカーを問わずどんどんつながり、世界に誇るべき“ジャパンクオリティ”の暮らしのIoTの実現を目的としているとのことだ。「宅配・物流」「オープンシステム」「データ活用」などの勉強会を設け、参加企業は少なくともどこかの勉強会に所属して、実証実験や共同開発など、具体的な連携を推進しているとのことである。

ホームページで見る限り、研究者は個人的に活動に関与しているようであるが、大学も含め教育機関が組織としてメンバーに入っているように見えない。今後は、このようなリーディングカンパニーや団体と積極的に関係を構築し、情報共有を進めていくことで、確かな技術者育成を行う産学連携を推進したいが、本事業をそのトリガとしたいと考えている。